バイリンガルに育つこと自体には問題はない世界には、一つの国に住んでいながら二言語以上の言語を使用する人は少なくありません。それは、幼いときから必要に応じて自然に習得してきた結果であり、ごく自然のことです。バイリンガルと言うと何か特殊な能力を持って生まれた子どもであるかのような誤解も持たれがちのようですが、全世界ほとんどすべての子どもが、その能力は持って生まれてくるのです。しかし、たまたま育った環境で、生きていくために必要な言語が一つなら、その能力は使わないままに失ってしまいます。そのため、のちに母語以外の言語を学ぶのに苦労するというわけです。逆に考えると、「自然にはバイリンガルに育たない国」に生きているのであれば「バイリンガルになる必要もない」ということになります。もちろん、バイリンガル教育はそれ自体が危険であるというようなものではありません。ただし、バイリンガル教育を行う場合には、子どもが育っていく環境と社会を十分に考慮する必要があると思います。日本で子どもを育てて、日本の学校に入れ、日本で暮らすという条件であれば、子どもの思考言語として優位に働く言語もやはり日本語になるはずです。周囲の子どもたちはみな、モノリンガルの環境で知識を身につけ、日本語の環境の中でさまざまな体験をしていくことになるわけです。